CASIO × SONY GPW-1000
2014/03/27

スイスのバーゼルで開幕したウオッチ&ジュエリーの祭典「BASELWORLD 2014」で、カシオは G-SHOCK で、GPS機能と電波時計機能の相互補完システムを備えたハイブリッドな電波時計 GPW-1000 を発表しました。
今セイコーのアストロンっていう、GPS機能で正確な時刻情報を地球上のどこでも表示できる機能のモデルが好調に売れているのですが、その機能と通常の電波時計の機能をハイブリッドさせたのが、今回発表された GPW-1000 になります。ハイブリッドさせることで、省電力化という大きな課題をクリアしているのが、技術的に優れたモデルとなっています。
しかもそのGPS機能の心臓部分であるGPSのLSIチップに関してはソニー製です。それもただソニーが開発したというだけではなくて、カシオとソニーの間で相当の難しい壁を乗越えながら開発できた製品のようです。詳しくは下部に毎ナビニュースの記事を抜粋しておきます。
この GPW-1000 ですが、製品的にはもちろん優れた商品なのですが、日本を代表するカシオとソニーというメーカーが、幾つもの艱難辛苦を乗越えて誕生したという背景が分かれば益々魅力的な商品に見えてきます。日本メーカー同士でこうやっていいところを組み合わせていくことはこれから非常に大切なことだと思いますね。
【毎ナビニュース 2014.4.26より抜粋】
GPS LSIチップのカスタマイズを担当した、ソニーのデバイスソリューション事業本部 干台岳氏。
「今回、カシオさんとお仕事させていただいて『ここまでやるのか』と、とても勉強になりました。ソニーの中にももちろん低消費電力の意識はありますが、その意識が一桁も二桁も違うといいますか…。
また、今回のGPS LSIチップは主にスマートフォンなどのモバイルデバイスへの搭載を想定しており、こうしたデバイスのリチウムイオン電池と比べて、カシオさんの時計ではそれよりも小さなボタン電池が多いですよね。電源が違うと特性も変わりますので、電源に合わせたカスタマイズも苦労したところです。
プロジェクトスタート当初は文化の違い(笑)を感じましたが、無事、時計に組み込むところまでこぎ着けることができて安心しています」
カシオの研究開発センター 第二開発部の松江氏。
「ソニーさんには難しいお願いをしたと思います。でも、GPW-1000が求めた仕様は、他のどんなGPS LSIチップでもできるものではなく、ソニーさんのこのチップだからこそ可能だったんです」
今回のプロジェクトは、ソニーとカシオ、双方の現場が緊密にコミュニケーションして、課題と意識を共有しながらお互いの情報を開示し、ともに壁を乗り越えながらゴールを目指すことができたという。部署が違うとはいえ、外から見れば、デジタルカメラなど競合製品を扱う企業同士である。そうそうできることではあるまい。
ソニー製のGPS LSIチップを採用した大きな理由の1つとして、「(LSI内部の)各電源ブロックの制御を柔軟に行える」ことを松江氏は挙げているが、両社の現場スタッフや上司の方々、発想、ひいては企業風土もまた、柔軟だったといえそうだ。
「カシオさんには、ソニーのGPS LSIチップの新たな可能性を引き出していただけたと思います」と語るソニースタッフ。そして「ソニーさんのチップのおかげで、今までにない機能と表現力が生まれた。ぜひ製品化を実現したいですね」と意気込むカシオスタッフの面々。その固いパートナーシップは、GPW-1000が持つ「GPS」と「電波時計」の両輪にも似たものと言えるのではないだろうか。

櫻木 伸一

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